2024/04/03

民主主義を支える基盤!?オープンデータを盛り上げるすごい人たち

こんにちは!広報の古橋です。
突然ですが、みなさんは「オープンデータ」ってご存じですか?

■オープンデータの定義
国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。
1.    営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
2.    機械判読に適したもの
3.    無償で利用できるもの

■オープンデータの意義・目的
1.    国民参加・官民協働の推進を通じた諸課題の解決、経済活性化
2.    行政の高度化・効率化
3.    透明性・信頼の向上

(総務省HPより)

・・とのこと。

なんだか難しいような感じがするのですが、もう少し簡単にお伝えすると、オープンデータは主に国や地方自治体、事業者が公開しているデータのことを指します。例えば貯金や住まいに関する調査などの生活に関するものや、景気動向など、その種類は様々です。無料で誰でも自由にアクセスができ、自由に手を加えることができるのが特徴です。そして国や地方自治体が積極的にオープンデータを公開することで、経済の活性化や地域課題の解決などが期待されているんです。
実はボーンレックス、そんなオープンデータの利活用を促進するためのコミュニティ事業【東京オープンデータコミュニティ】を東京都より受託し、運営をしています。
コミュニティには大企業やスタートアップ、行政機関や地方自治体でお勤めの方、そして学生のみなさん、外国人の方や、シニアの方々まで、200名を超える多彩な属性の方々が参加をしています。
今日はそんなコミュニティより「我こそは!」という方にオープンデータへの想いや取り組みを語っていただいた交流イベントの様子をシェアします!

 

なんだかとても熱い人々

この日は、5人の有志がオープンデータへの熱き想いを語ってくれました。

オープンデータに命を吹き込む人たち

トップバッターは、都知事杯オープンデータ・ハッカソンをきっかけに結成された「VIZZIES」の中西優介さんです。

オープンデータはものすごい力を持っているのに、データの検索や理解が困難であり、しかも必要な情報を見つけるのに手間がかかるという点で非常に使いづらくなってしまっています。そんなもったいない状況を打破するために結成されたのがVIZZIESです。7人で結成されたこのチームは正にオープンデータ界の7人の侍!彼らは「#オープンデータスゴイ」という活動を立ち上げ、その中で検索ダッシュボードの開発や定期的な可視化ハッカソンの開催を提案、実施をしています。ハッカソンに関してはこれまでに4回実施し、のべ100名の方が参加し、100件以上のオープンデータが可視化されたそうなんです。(ホントすごい。)

 さいごに中西さんは、オープンデータの利活用は行政との連携が不可欠であることを強調されました。行政に対しては、VIZZIESで制作した検索ダッシュボードの利用やデータの整備を呼びかけつつ、その一方で、自らも引き続き積極的に活動を続け、改善に向けて行政と協力してゆきたいと語ってくれました。

オープンデータで子どもたちの可能性を拡げる人

株式会社ガッコム 代表取締役社長の山田洋志さんは、”Open Data & Open Choice for Children”を掲げて子供たちの教育に関する選択肢を広げることを目指しています。具体的には「ガッコム」というサービスを展開し、学校に関する様々な情報を収集し、オープンデータとして公開。例えば、学校の教職員数や生徒数、部活動の有無、学区などの情報を収集し、利用者が容易にアクセスできるようにしています。さらに利用者が投稿した情報も統計的に処理し、オープンデータとして公開しているそうです。このような取り組みを通じて、子供たちや保護者が学校選びを情報を基に意思決定できるよう支援しています。そしてより透明性のある教育情報を提供することで、地域の教育の質を向上させることを目指しています。

オープンデータを活用し、「ガッコム・むすびえ こども食堂マップ」「ガッコム安全ナビ」も展開

無料で勝手に使えるオープンデータの可能性に魅了される人

台湾出身の陳豊文さんは、オープンデータの存在をはじめて知ったときはとても驚いたといいます。なぜなら無料で勝手に使える有益なものだから。その一方で、更新が遅かったり、同じデータでもフォーマットが異なったり、探すのが大変だったりすることで、使いたいが使えないものも多く苦心したといいます。

そこで陳さんが開発したのが「WOWOMAP」。自治体が公開している地域のイベントに関するオープンデータを活用し、多くの人に役立つサービスを提供することを目指したサービスです。現状は、地域イベントのオープンデータの代わりに、東京ビッグサイトのオープンデータを導入しているそうですが、今後地域イベントを含む様々なデータを活用する予定だそうです。

自治体のイベント情報を一元管理する「WOWOMAP」

オープンデータにはとてもポテンシャルがあって、そしてChatGPTと一緒でみんなが使えば強くなる!と陳さんはいいます。たくさんの人が使うことで発展していく可能性があるので、まずはひとりでも多くの人に使ってみてほしい!と強く訴えました。

オープンデータを探してたら土嚢が大好きになってしまった人

もりたあきひろさんも「VIZZIES」の7人の侍のひとり。もりたさんは、都内のオープンデータを活用して検索ダッシュボードを作成し、未知のデータにもアクセス可能な検索サイトを開発しています。その活動の中で運命の出会い、「土嚢」との出会いを果たしたのです。

はじまりは、たまたま「土嚢ステーション」という都内のオープンデータに出会ったこと。そのデータを可視化した後、浸水被害の位置と土嚢の配置状況を重ね合わせて分析をしたそうです。驚いたことに、浸水被害の多い地域には土嚢がほとんど配置されていないことがわかり、この事実からさまざまな疑問や課題が浮かび上がりました。さらに、オープンデータの探求を通じて、土嚢に関するコミュニティや研究者の存在を知り、防災や社会問題について考えるきっかけとなったと興奮気味に語りました。
もりたさんはオープンデータが社会を変革し、人々を育てる力を持つことを示唆されました。そしてこれからもオープンデータを活用して、社会をより良く変えていく活動を続けてゆくことを話してくれました。

オープンデータからはじめ、それをビジネス化して継続化させる人

最後の発表者は2022年度 都知事杯オープンデータ・ハッカソンで最優秀賞を受賞されたZガードの磯本圭介さんです。
磯本さんはオープンデータを活用したAIサービスの事例について発表されました。磯本さんチームは、オープンデータを利用して“運命の街に出会わせる”ことをコンセプトに、「上京物語」というサービスを開発しました。上京物語は、これまでの「通勤距離」などを条件にしたあてずっぽうな町選びを、AIで革新する新しいサービス。AIが東京都内3000を越えるエリアから「あなたが住むべき運命の街」を見つけ出します。

現在はサービスのビジネス化に注力しており、不動産業者と提携して、ユーザーがサービスを経由して引っ越しをするときに手数料を得るビジネスモデルを構築しているそうで、ビジネスモデルの拡大とユーザーへの普及のためにオープンデータハッカソンやコミュニティのサポートを受けながら取り組んでいるそうです。
そして最後に耳より情報!「上京物語 街選び」で検索して引っ越しが決定した方に5000円キャッシュバック中!お引越しをご検討中の方は是非ご活用くださいね!
オープンデータの利活用をビジネスに昇華させてしっかりと継続をさせていく試みは一見新鮮に感じましたが、オープンデータを今後より一層盛り上げ定着させていくためには必然的な動きなのかもしれないと思わされる発表でした。

モチベーションの源泉

ここまでの熱い想いを聞いてやっぱり気になるのは、何が彼らを突き動かしているのかということ。オープンデータを使う人のモチベーションって何なんだろう?ずばり聞いてみました!

山田さん:「データマゾヒスト」と呼ばれる人がいるんですね。無理難題のあるデータを好き好んでクレンジングする人のことなんですけど。僕もそのひとりでして。笑。出来上がったデータを眺めたり、それから何が生まれるのかなと~考えるだけでワクワクするんです。
森田さん:僕はマラソンとか、トライアスロンをやるんですけどね、やっぱり長距離系が好きなんです。だから、何か見えないゴールを目指して一歩一歩近づいていくそういうのがきっとモチベーションなんだろうなと思います。
磯本さん:無料で使えるデータがある。これでビジネスして儲けようぜみたいな感じで始めちゃいました。ただ、公共データじゃなくて民間データを使ってコンビニの位置とかとか調べようとすると、すごいお金かかることがわかったんですね。これがGAFAとかに払わなきゃいけないって厳しいなあと思うんです。このままだとそういった会社とかにデータが握られてしまう可能性がある。国益なんていうと大げさなんですけど、単純に勿体なくって、要は競争力の維持のためにも、このコミュニティとかで頑張っていきたいなって思うんです。私テック系じゃないですけど、オープンデータの価値はすごい高いと感じているんです。

想いも考え方も多様で面白いですし、ここまで深く捉えることができるのか・・!という驚きがありました。

さいごに、オープンデータに少し興味を持っている人たちへメッセージをいただきました。みなさんが共通して伝えてくださったことは、コミュニティ参加の重要性です。
中西さんは、参加の理由は「スキルはなくても仮説だけはある!」でもいいから是非声を掛けてほしいと伝えています。磯本さんは、ノーテックでも問題ないとし、本業以外での活躍の場を持つことや、違う価値観の人に出会えることの面白さを伝えてくれました。もりたさんは、遊び心を持ち、多角的なアプローチを取ることを推奨しています。陳さんは、みんなで使えば強くなるとし、「まずは試してみよう!」と勧めています。そして、山田さんは、データが現代社会の重要な要素であることを指摘し、「コミュニティが活発化すれば、良い循環が生まれる。」と強調しました。

まとめ

オープンデータの世界は、情熱と創造性にあふれている!と思わずにはいられないプレゼンでした。
ここで紹介させていただいた5名の方々は、それぞれの視点と経験を携えながらオープンデータを活用し、社会にポジティブな影響を与えようとしています。彼らのストーリーから見えてくるのは、コミュニティの力やオープンデータの可能性を信じる力。その信念はきっと、民主主義や社会の発展において重要な基盤となっていくのだろうなと思いました。
「オープンデータ」とひと言でいうと、なんだか無味乾燥とした自分とは遠い存在だと感じていましたが、みなさんの話を聞いて、単なる技術やデータの活用にとどまらず、人々の心を動かし、社会を変える力を持っていると感じました。オープンデータは単なる情報の集合体ではなく、きっと、人々の連帯や創造性を育むもの。だからこそ、その重要性がもっと高まり、さらに民主化していくことを願っています。
・・わたしも参加してみようかな(`・ω・´)

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